ケツメイシ茶は便秘に効果あり?成分や効果について解説
ケツメイシは二日酔いや疲れ目に良いとされ、煎じたお茶が親しまれています。
便秘解消効果も注目されていますね。
ケツメイシというと音楽グループを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
あちらは薬科大出身のメンバーが薬の辞典を開いたときにぱっと目について名付けたそうですよ。
薬局やドラッグストアで手に入るハブ茶にもケツメイシが入っています。
手軽に手に入れられることも魅力のケツメイシ茶の、期待できる効果、副作用について、私薬剤師の斎藤が詳しく見ていきたいと思います。
また、ケツメイシ茶に関する数々の噂も検証します。
目次:
便秘解消効果を謳うお茶の効果と安全性は?薬剤師が詳しく解説!
ケツメイシとは
ケツメイシとはエビスグサという植物の種子です。
エビスグサは熱帯原産ですが、日本でも暖かい地方で海岸線沿いや民家の脇にみられます。
中国では決明子と書き、漢方薬として扱われます。
日本では『医薬品的効能効果を標ぼうしない限りは食品』という扱いで、医薬品とそうでないものがあります。
成分や不純物の検査など国家検定に合格したものが医薬品です。
もとは同じエビスグサの種ですが、医薬品のケツメイシは整腸剤です。
医薬品以外のものがハブ茶に使われます。
ケツメイシ茶とハブ茶は同じ?
ケツメイシ茶はハブ茶とも呼ばれますが、本来のハブ茶はハブソウ(ハブ草)の種を煎じたものでした。
ハブソウは、蛇のハブに咬まれたときの薬草として日本で導入された経緯から名づけられました。
ハブソウとエビスグサは同じマメ科の植物で、見た目も薬効も似ています。
ハブソウは寒さに弱く収穫量が少なかったため、育てやすいエビスグサがいつからか代わりに使われるようになったそうです。
現在ではほとんどのハブ茶がエビスグサの種子(ケツメイシ)から作られたものです。
しかし、決して偽物というわけではなく、昔から使われてきたものなのです。
ケツメイシの効能効果は?成分と中医学からアプローチ
ケツメイシを煎じたお茶の、期待できる効果について調べてみました。
ケツメイシには整腸作用あり
医薬品のケツメイシの効能効果は整腸(便通を整える)、便秘、腹部膨満感です。
ケツメイシにはアントラキノン誘導体が含まれています。
アントラキノン誘導体は大腸の中で腸内細菌により分解され、その成分にお腹をゆるくする緩下作用があります。
また、アントラキノン誘導体にはおだやかな利尿作用もあります。
ハブ茶は医薬品ではないのでその効果は保証できませんが、便秘やお腹の張りの改善に期待ができますね。
目に良いというのは?
疲れ目に良いとされるケツメイシですが、目に効くとされる成分はまだ判明していません。
ケツメイシが昔から使われている中国の中医学を調べてみました。
中医学では、肝は目に通じると言われます。
肝は中医学で肝臓だけではなく、気(生命エネルギー)と血が体中をめぐるよう調節する体の働きを指します。
肝臓、自律神経、精神が主にあてはまります。
肝はストレスや緊張に弱く、ストレスなどで肝がうまく働かず気と血がとどこおると体の隅々までいきわたりません。
すると、肝に通じるという目に栄養や潤いがいかないので、目の渇きや疲れがとれなくなります。
行き場がなく溜まった気と血はやがて熱になり、充血や痛みになって目にあらわれます。
ケツメイシは清肝明目、除風熱といって肝をしずめ、熱を冷やして目を明らかにするとされています。
肝をしずめることで疲れ目、目の充血、涙目など目のトラブルに効く、というわけです。
また、中医学の考え方では、肝の熱はイライラ、消化不良、高血圧、頭痛、めまいなどを引き起こすといわれます。
ケツメイシの肝をしずめるといういわれから、中国ではこのような様々な症状の改善を期待して飲まれています。
ただし、これらの中医学の考えは、有効性があるのか十分な情報がまだ見当たらないのが現状です。
ダイエット効果は?
ケツメイシ茶はダイエット効果を期待する購入者も多い健康茶です。
しかし、正直なところ、ケツメイシ茶だけではダイエット効果はあまり期待できません。
もっとも、便秘が解消すればその時は体重が減りますし、おだやかな利尿効果もあるので足や顔のむくみが軽くなることもあります。
また、毎日の食事のジュースや砂糖入りのコーヒーをお茶に変えればカロリーダウンになりますので、結果的にダイエットになるかもしれません。
数々の噂は本当?
ケツメイシ茶に関して、インターネットで出てくる情報を検証しました。
◆二日酔いに効く?
真偽は不明です。
おそらく、利尿作用があるのでアルコールを体外へ排出するのと、中医学の考えで肝に働きかけてアルコールを分解する肝臓と胃腸の働きを正常化するというのが考えられますが、想像の域をでません。
◆ビタミンAを含むので目に良い?
こちらも真意は不明です。
海外の論文ではビタミンAは乏しいという結果が出ていました。
もし仮に入っていても、ビタミンAは水に溶けにくいのでお茶には溶け出しませんし、出がらしはお腹を壊すので食べられません。
◆白目をはっきりきれいに?
中医学の清肝明目で「目の充血をとる」といういわれからと考えられます。
こちらも十分に解明されていません。
◆あご周りのニキビが消える?
ニキビは便秘で悪化することが多いので、便秘が解消すればニキビが改善するとは考えられます。
ケツメイシは日本での研究があまり進んでいないので、効果は何とも言えないのが現状です。
もしかするとこれから解明されるかもしれませんね。
ケツメイシ茶の味と選び方について
スーパーに並んでいるハブ茶から医薬品扱いのものまで、様々な種類のあるケツメイシ茶商品の、味や選び方についてご紹介します。
ケツメイシ茶の味は?
ケツメイシを煎じたお茶は若干苦みがありますが、麦茶やほうじ茶のような風味です。
生のものは草のようなにおいが少し気になる方もいますが、焙煎したものは香ばしく飲みやすい、と一般的には言われます。
ハブ茶を買う
ハブ茶は薬局、ドラッグストア、ネット通販などで比較的手に入れやすい商品です。
市販のハブ茶には手軽なティーバッグタイプのものや、麦茶やハトムギ茶とブレンドして飲みやすくした製品もあります。
また、焙煎してある製品もあります。
1日の目安量は特に決まっていませんが、ティーバッグなら体の調子をみながら1日1つが適量のようです。
ハブ茶には他の健康茶とブレンドした製品もあるので、検討するときは原材料をよく見ましょう。
特に注意してほしいのは、キャンドルブッシュ(ゴールデンキャンドル)を含むブレンド茶製品です。
こちらには下剤成分が含まれているので、毎日の連用はすすめられません。
医薬品のケツメイシを取り寄せる
医薬品のケツメイシは、ネット通販か、薬局またはドラッグストアで取り寄せてもらえます。
その際は「第3類医薬品」と書いてあるものを選びましょう。
インターネット検索では医療用医薬品の情報がヒットしますが、こちらは医療機関向けの漢方原料ですので、一般の利用者への販売は行われていません。
医薬品のケツメイシは焙煎せず飲みます。
飲み方は、1日分10gを煮出し1日3回に分けて食前か食間に飲む、と決められているので、しっかり守りましょう。
製品によっては煮詰めるタイプのものもあるので、パッケージの注意事項をよく読んでくださいね。
注意点は?
ケツメイシ茶を利用する上での注意点ですが、お腹の張り、おなら、下痢、吐き気や気持ち悪さが生じる可能性があります。
これは、ケツメイシのお腹をゆるくする作用によるものです。
妊娠中、授乳中の方、子供は飲むのは避けてください。
安全性が確立していません。
高齢者の方は利尿作用による脱水に注意して様子を見て試してください。
また、下剤や他の便秘茶とは一緒に飲まないでください。
作用が重なって腹痛や下痢になる恐れがあります。
血圧が下がる可能性があるので、低血圧の方や降圧剤を服薬中の方も飲まないでください。
毎日飲んでも大丈夫?
医薬品のケツメイシには、『2週間ぐらい飲んでも症状が改善しなかったら医師や薬剤師へ相談を』という記載があります。
ケツメイシに含まれるアントラキノン誘導体は大腸を刺激します。
飲み続けていると大腸が刺激に慣れてだんだん効かなくなってきます。
困ったときになるべく一時的に飲むようにして、お休みを挟むなどずっと飲み続けないようにしましょう。
エビスグサは栽培できる?
ケツメイシは、最近は中国や東南アジアからの輸入物が増えています。
海外産は生育環境や農薬が心配という方は、エビスグサは自分で育てることもできるので、健康にこだわりのある方はケツメイシを自作するのも一つの手だと思います。
ここでは簡単に紹介します。
興味がある方は詳しく検索してみてください。
ハブ茶や市販のケツメイシは焙煎済みであったり乾燥させてあったりしているので、そのまままいても芽が出ないものがほとんどだと思います。
栽培用の種を購入してくださいね。
温暖な地方なら日当たりの良い庭や畑で栽培できます。
1〜1.5mに成長するので、プランターよりも直植えの方がおすすめです。
4〜5月に種をまき、伸びてきたら適度に間引きます。
夏に黄色い花が咲き細長い実がなります。
10〜11月ごろにさやが茶色く熟してきたら収穫です。
さやを剥くか叩くと種が出ます。
種が飛び散ると来年そこから生えてきてしまいますので、草を引き抜いて乾燥させ袋の中でたたくといいかもしれません。
種はよく乾燥させ、お好みで焙煎してください。
フライパンなどを使い弱火でじっくり、ぱちぱち音がして香ばしい香りがしたら完成です。
余った種は湿気を避けて保管してください。
まとめ
ケツメイシ茶、ハブ茶は手軽に手に入りますが、整腸効果があることしかわかっていません。
しかもその効果は医薬品で保証されているもので、市販のハブ茶では信頼できる十分なデータがありませんでした。
目の効果やダイエット効果はあまり期待すぎずに、お通じ改善を目指して試してみるのはいいと思います。
参考
- 健康食品の素材情報データベース
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail2619.html - ハブソウの種子の栄養価(英語)
http://globalresearchonline.net/journalcontents/v37-2/25.pdf - エビスグサの種子の栄養価(英語)
https://www.cabdirect.org/cabdirect/abstract/20103074397
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