便秘を解消する科:『便秘薬の新常識』を名医が徹底解説!
【名医とつながる!たけしの家庭の医学】2017年10月24日放送
ビートたけし司会の、『健康寿命』をキーワードとした健康情報バラエティ番組。
元気で健康に長生きするために知っておきたい、やっておきたいことを、番組シリーズを通してつちかった『名医』の人脈を活かし、徹底調査。
現場の第一線で活躍する専門家たちの最新事情を踏まえた鮮度の高い情報を、お茶の間に届けます。
今回放送の腸活企画は、『【便秘薬の新常識】便秘対策に危険な落とし穴が!』。
普段我々が何気なく行っている便秘対策に、かえって症状を悪くしてしまうようなものがある!?
- MC: ビートたけし
- アシスタント: 斎藤真美
- ゲスト: 井森美幸、ガダルカナル・タカ、関根勤、中村勘九郎、山村紅葉
怖い便秘薬の副作用について、便秘薬のタイプごとに原因・症状を詳細解説!副作用の少ない便秘薬の選び方・使い方も紹介。
便秘を解消する科:誤った便秘対策が難治性便秘を招く?
便秘は今や日本国民の4人に1人が悩んでいるといわれています。
しかも加齢とともに増える傾向にあり、特に60歳以上になると男女ともに急増していくことがわかっています。
そのような状況をうけて、今年10月3日に日本で初めてとなる便秘治療のためのガイドラインが設けられました。
ガイドラインでは、治療法・改善法の効果を改めて検証。
患者がより安全で確実な対策をとれるようにとまとめられた、画期的なものとなっています。
その便秘治療のためのガイドラインには、ある注目すべき事実が記されています。
それは、私達がやってしまいがちなある便秘対策を行うことにより、便秘が悪化し、難治性便秘になることがある、というもの。
普段やっているかもしれない便秘対策に、便秘を悪化させ治りづらくする危険な落とし穴があると、いうことです。
さらに、その落とし穴に陥ると、大腸が異様な形に変形してしまう恐れも。
正常な大腸は下向きの『コ』の字のような形です。
しかし、難治性の便秘の人の大腸は、腸の管は正常な状態より異様に太くなり、コの字型も完全に崩れ窮屈に折りたたまれてしまいます。
便は複雑に折れ曲がった状態の大腸を進まなくてはならなくなり、肛門に達するまで通常よりかなり時間がかかってしまいます。
このような腸の状態になってしまう危険がある『誤った便秘対策』とは、いったい何なのでしょうか?
やってしまいがちな便秘対策の落とし穴とは?
大竹律子さん(63)のケース
神奈川県にお住まいの大竹律子(仮)さんは、3年前に60歳で定年退職。
退職後の生活の変化によるストレスからか、今まで1日1回出ていたお通じが、2日に1回になることが増えました。
やがて3日に1回、4日に1回といったように、お通じが来ない日は徐々に増えていきました。
このままではと感じた律子さんは、たっぷりの野菜を食べるなどの便秘対策を実行しましたが、あまり効果は上がりません。
便秘薬の利用を始める
半年ほどたった時のこと。
5日間便が出ていない状態だった律子さんは、腸に溜まったガスが逆流するような感覚があり、吐き気に襲われます。
不安を感じた律子さんは、病院ではなく薬局へ。
売れ筋No.1の便秘薬を購入し、帰宅後服用します。
すると、翌朝にお通じが。
久しぶりのスッキリとした排便に「これで便秘は治る」と思った律子さん。
しかし、次の日はお通じがありませんでした。
「便秘薬を毎日飲めばきちんと排便がある」と考えた律子さんは、それから毎日夕食後に薬を服用するように。
すると翌日にはきちんとお通じが来ます。
便秘薬さえあればもう大丈夫、と考えた律子さんでしたが、この「薬を毎日服用する」という対策こそが、落とし穴の始まりでした。
服用量がどんどん増える
1年後、律子さんの便秘には新たな変化があります。
薬を服用しても翌朝にお通じが来なくなってしまったのです。
「薬に身体が慣れて効果が弱くなってきたのでは?」
そう感じた律子さんは、1回に飲む薬の量を、本来の用量以上に増やすことにします。
そうすることで、お通じがあることはありますが、薬の効きは日に日に悪くなる一方。
やがて律子さんは、1回の使用で2錠の薬を、6錠、それも朝昼夜の1日3回服用するように。
それでも薬の効果は感じられず、便秘はますますひどくなる一方です。
さすがにこの状態はおかしいと感じる律子さん。
しかし、病院へ行けばお尻を見せなくてはいけないのが恥ずかしいし、変な病気が見つかるかもしれないという恐怖もあり、病院へ行くという選択を避けてしまいます。
便秘が原因となり倒れる
このような状態で10日ほどお通じがこない日が続いたある日、律子さんは意識を失って倒れ、救急車で搬送されることとなります。
倒れた直接の原因は、200を超える異常な高血圧。
便秘に対する不安がストレスとなり、血圧を急上昇させたと考えらます。
このことがきっかけとなって、律子さんは便秘の専門病院へ。
この時撮影された律子さんの大腸は、10日間溜まった大量の便が大腸の管を押し広げ異様な太さとなり、溜まった便の重さに耐えきれず大腸が垂れ下がり歪んだ形になっていました。
腸が垂れ下がる落下腸に効果的な『落下腸マッサージ』も紹介。各分野のスペシャリストが教える排便促進腸もみマッサージの記事はこちら!
便秘対策の落とし穴は『便秘薬の間違った使い方』
律子さんの病名は弛緩性便秘というもの。
大腸には腸管神経というものが張り巡らされており、大腸を収縮させ便を肛門に運ぶ働きをします。
この腸管神経が何らかの理由で働かなくなってしまうと、腸の筋肉がゆるんで収縮できなくなり、便が肛門に運ばれなくなってしまいます。
これが弛緩性便秘です。
便が肛門に運ばれなくなり大腸内に便が溜まることで、律子さんの腸管は異様な太さとなり、また便の重さに耐えきれず大腸が垂れ下がってしまったのです。
弛緩性便秘の原因と症状、治療法についての記事はこちら!
律子さんが使用していた便秘薬は、腸管神経に直接働きかけ腸の収縮を起こさせる『刺激性便秘薬』と呼ばれるタイプのものでした。
刺激性便秘薬は効果が高いのですが、この薬には守らなければならない使用上の注意点があります。
それは、長期連用しないこと。
例え効果があっても、長期間連続して服用してはいけない、というものです。
実際市販されている薬の説明書を見ると、服用後に便通の改善がみられたら、服用間隔を少しずつ延ばすよう注意喚起がされています。
それにもかかわらず、律子さんはおよそ2年半もの間、毎日薬を飲み続けました。
それだけにとどまらず、服用する量も勝手に増やしてしまいました。
大量の薬で毎日腸を刺激し続けたことで、律子さんの腸管神経は疲弊して反応しづらくなり、腸管の筋肉がゆるみ、便を送り出せなくなってしまったのです。
名医に聞く、便秘薬の新常識
便秘のスペシャリストである水上健医師をスタジオに迎え、便秘の新常識を聞いていきます。
国立病院機構 久里浜医療センター IBS・便秘外来 水上健先生
内視鏡の専門家としてこれまで約2万人の大腸を診察。
便秘を起こしやすい大腸の形など、便秘の新しい原因を明らかにしています。
また、今月日本で初めて発行された便秘の診療ガイドラインの作成委員を務め、世界でも便秘の診療法普及に尽力する、日本屈指の名医です。
水上健医師の所属する久里浜医療センターの紹介も。全国の便秘専門外来の一覧はこちら!
便秘の新常識1:週に3回排便があれば便秘ではない
排便は毎日無いとダメだと思っている人は多い。
しかし、実は排便は必ずしも毎日あるというわけではなく、週3回排便できていれば毎日出ていなくても便秘ではない。
例えば「月火水木に出なくて金土日に出る」というようなケースであっても、忙しい平日は出ないがゆっくりできる週末に出るというリズムの人もいるため、異常ではない。
便秘の新常識2:刺激性の便秘薬の使用は週に2回まで
刺激性便秘薬は医療の現場でもよく処方されるが、今月発行の便秘治療のガイドラインでも「刺激性便秘薬を使う時は短期間・頓用で週2回程度の使用」を奨めている。
週2回程度の使用であれば、大腸に問題はないことがわかってきた。
便秘の新常識3:腸に優しい便秘薬がある
実は非刺激性の便秘薬というものがあり、そちらを先んじて使用したほうが腸には優しいと考えられる。
非刺激性便秘薬のメカニズムは、腸内に水分を集め便を柔らかくすることで排便しやすくする、というもの。
刺激性便秘薬のように腸を無理やり動かしたりはしないので、腸への負担がない。
また、量さえ気をつければ、非刺激性便秘薬は毎日使用しても問題ない。
非刺激性便秘薬は薬局にも置いてあり、薬局の薬剤師に聞けば出してもらえる。
市販されている『非刺激性便秘薬』の代表格、酸化マグネシウム便秘薬の解説記事はこちら!
) (3).png)
【専門家が教える】便秘解消3つのコツ
![]() | ![]() | ![]() |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
性別・年齢別の便秘対策
) (3).png)
